社長:
私の子どもを社員に雇用して給料を払おうと思うんですけど、
身内だし他の従業員より多く給料を払っても問題ないですよね?
税理士:
社長、そんなに安易に考えてはダメですよ!
社長:
ええっ、ダメなんですか?
私の会社だし、私が決めて何が悪いんですか!
税理士:
社長が決めることは問題ないですが、
いくらでもいいという訳にはいきません。
それを認めてしまうと、役員報酬(定期同額給与)を
低くしておいて、利益が出そうになると子どもの給料を高くするなどの
方法で会社の利益調整が容易にでるようになるからですよ。
社長:
そんなせこいことしませんってば。
だいたい、ダメだっていう根拠はなんですか?
税理士:
法人税法第36条に(過大な使用人給与の損金不算入)という規定があります。
法人税法第36条(過大な使用人給与の損金不算入)
内国法人がその役員と政令で定める特殊の関係のある使用人に対して支給する給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含む。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の計算上、損金の額に算入しない。 |
社長:
特殊の関係のある使用人ですか・・・?
税理士:
法人税法施行令第72条(特殊関係使用人の範囲)に規定されています。
法人税法施行令第72条(特殊関係使用人の範囲)
(一)役員の親族
(二)役員と事実上婚姻関係と同様の関係にある者
(三)(一)及び(二)以外の者で役員から生計の支援を受けているもの
(四)(二)及び(三)に掲げる者と生計を一にするこれらの者の親族 |
社長:
私の子どもであれば特殊関係使用人に当たるってことですね?
税理士:
そういうことですね。
社長:
では、不相当に高額な部分の金額とは?
税理士:
法人税法施行令第72条の2(過大な使用人給与の額)に規定されています。
法人税法施行令第72条の2(過大な使用人給与の額)
内国法人が各事業年度においてその使用人に対して支給した給与の額が、当該使用人の職務内容、その内国法人の収益及び他の使用人に対する給与の支給状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの使用人に対する給与の支給の状況等に照らし、当該使用人の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額とする。 |
社長:
う~ん、なにやら難しいですね。簡単に言うとどういうことですか?
税理士:
まず、子どもさんの給料の額を自社で比較して、
次に同業種同規模の法人と比較をするということになります。
まあ、実際には他社との比較は困難ですから、
自社の収益状況からみて過大でなないか検討し、
職務内容などからみて比較対象になりそうな親族以外の
社員の給料を超えない程度の支給額にすれば、
税務署に説明が付くのではないかと考えます。
社長:
税法でちゃんと制限されてるんですね。
税理士:
役員は会社法などで一定の手続きを経て役員報酬を決定しますが、
従業員は通常支給額損金になりますからね。
役員の親族等が従業員として「お手盛り」支給を防ぐ目的で
制限をもうけているということになります。
社長:
はぁ~、かわいい子どもにこれぐらい上乗せしようとおもったのに。
税理士:
社長、流石にその金額は・・・。
(顧問料もこれぐらい上乗せしてくれたらなぁ)
広島総合税理士法人